前回、葬儀についての本のレビューを書いたんで、25年くらい前の夫の親戚の葬儀(佐賀県に住む義母方の母の)を思い出しました。
お通夜は義母の妹の自宅で行われました。
お通夜の日の昼間、そこのお嫁さんも親戚の若手の部類に入る女性も仕事で誰もいなくて、休みが取れたわたくしだけが台所に立ちました。
その時在宅していた義母と妹である叔母は誰もが認める料理ど下手だったのです。
叔母に夜はお通夜に来る方に料理を振る舞うから、たくさん作って、と言われたのですが、25年前とは言え、わたくしの住む福岡では葬儀は葬儀場で行うのが一般的。
通夜振舞いなんてわたくしの小さい頃にあったことしか記憶にございませんので、「まさか通夜に来た人が本当に料理なんて食べるはずはないだろう、これは社交辞令的なものだ」と思って、のんびり作っていたのです。
そして夕方くらいから、弔問客がパラパラといらっしゃいました。
お参りを済ませたお客様に叔母が「どうぞ食べていってください」とすすめると「じゃあ、いただきます」と料理を用意している部屋に入るではありませんか!
え!?本当に食べるの?そこは「いえ、もうここで失礼します」って言うのではないのかーい!!
通夜にいらしたお客様は皆さん、お料理に手をつけ始めました。
この地域では通夜振舞いはまだ一般的だったんですね。
信じてなかったわたくしって浅はか・・・
ここからわたくしは馬車馬のように猛烈に料理を作り始めました。
精進料理って何作ればいいのかよくわからなかったので、とにかく肉を使わなければいいんだろうっ!って勢いで肉なし麻婆豆腐とか野菜たっぷりスパゲッティとか、ドッカンドッカン作りました。
そうこうしてる間に仕事から帰ってきた親戚もやってきて「リウちゃん!ごめん!交代するよ〜!」でなんとか通夜振舞いを無事に出せました。
「本当に食べるんだ・・・」と一人ブツブツ言ってたのですが、そのころはまだ珍しかったシフォンケーキを焼いて出したのを食べてたお客様が「うわ〜、こんなフワフワのケーキ、初めて食べた。おいしかね〜」ってものすごく喜んでたのを見て、ちょっと心が落ち着きましたが、もうあんなこと2度とできません、てかしません。
でも、こういう形の通夜も葬儀も、これが最後になり、その後は葬儀場で執り行われ、食事は仕出しや料理屋さんで食べました。
田舎の方なんか、昔ながらの葬儀をやってるところ、まだまだあるんでしょうね。
今となってはいい(?)思い出だけど、身内だけでひっそりと通夜も葬儀もやりたいものです。
では!