12月に入り寒さが増してきたので、施設にいる母に厚手の服を持っていきました。
施設の玄関を入ると、ちょうど母はお風呂に入るところだったそうですが、職員さんが連れてきてくれました。
「来るって知らんかった」と喜んで、何回も「お風呂で、ちょうど下を脱ぎよったとよ」と説明してくれました。
しばらく椅子に座って話をしていたけど(母の言ってることはちんぷんかんぷん)、「お風呂に入っておいでよ」と促すと、「じゃあ行ってこようかね」と職員さんとお風呂へ。
あんなにいつもお風呂に入るのを拒否していたのに、どうやってお風呂に連れて行ってるのか職員さんに聞いてみました。
「リウちゃんがお風呂で待ってるよー」って言うと「あ、そうね、行かんとね」と素直に応じるそう。
なんと、わたくしの名前を出すと聞いてくれるんだ!
職員さんは言うには「リウちゃんがお風呂で待ってるよーって娘さんの名前を出すと安心するんですよ。それでお風呂に行って娘さんがいなくても、もうその時は忘れてるんです」だって。
たしかに母は短期記憶がすっかり低下してしまってるのよ。
以前は、母にきちんと説明しなければいけない、本当じゃないことを言うのは心苦しいし、どうすればいいか悩んでいました。
でも、その時に本人が安心すればいいから、嘘だなんて気にしなくていいのかあ。
「嘘も方便」と言えばいいのかな?
母を否定しないで、うまく嘘を利用して安心してもらうことが大事ってことなのね。
職員さんに連れられてお風呂に向かおうとする母は振り向いて「あんたはここで待っとくんやろ?」って言うので、「うん、待ってるから、お風呂に入っておいで」と見送って、わたくしは帰りました。
嘘でも母が安心するなら、それでいいんだ、とちょっと肩の力が抜けた気がしました。
母が安心して暮らしてる、それでOKです。
では!