紹介された本の感想です。
この本は著者の菅野仁さんの当時小学生だった娘さんが、
友人関係で悩んでいた事が、この本を書こうと思った
ひとつのきっかけになったそうです。
そして、本の帯や中のイラストもかわいくて、若い人、
学生の方にぜひ読んでもらいた一冊であるのはもちろんなのですが、
若い人の親世代や大人の方にも、とてもおすすめでもあるのです。
なぜなら、「人はひとりで生きられないから」。
人間関係というのは何も「友だち」とか「会社の人」
「近所の人」だけでなく、「親子間」だって人間関係
なのです。つまり死ぬまで付いて回るものなのです。
「みんな仲良く」「みんなひとつになって」
「みんなで心を通わせるような」なんて、小学校でよく
言われるようなスローガンは幻想であるということ。
気の合わない人、あまり好ましくない人とムリに
仲良くしようとするのではなく、「並存」「共在」
できることが大切なのだと。
ムリに関わらないで「やりすごす」。
そして
「自分の事を百パーセント丸ごと受け入れてくれる人は
いない」
「人はどんなに親しくなっても他者なんだということを
意識した上での信頼感のようなものを作っていかなくてはならない」
こんな風な文章を読むと「しょせん、人は他人。だれも自分を
理解してくれないんだ・・・」という冷たい印象を持ってしまうかも
しれませんが、「無理して自分のすべてをわかってもらえなくても
いいんだ」という考えで、「自分をしっかり理解しようとしてくれる
人」との出会いを楽しむことが、「人との付き合い」で
大切にしなくてはいけないということがわかりました。
この本は10年前に書かれた本で、著者の菅野仁さんは、
地域社会論)専攻の大学教授で、多数著書がありますが、
残念なことに、2016年に亡くなられております。
今の時代、SNSで簡単に他者と繋がれるけど、
その関係性はとても希薄なものです。
そして、その一方、学校や会社、地域でみんなと
同じでなければいけないという「同調圧力」のようなものに
苦しんでいる人もたくさんいます。
「他者とのつながり」を改めて考える必要がある今だからこそ、
この「友だち幻想」を読んでほしいと思います。
では!